時と共に
あの地震という日が情報の海に飲み込まれてしまわないように、沈黙を守り、残し続けた。地震は情報に飲み込まれてしまった。情報も津波のように情報を奪い去り、記憶から抜き取って行く。些細なことでも争いの種となったあの日々も、蝋燭の灯りで食事をしていた夜も、もうそれは夢であったのではないかと思うほどに、現実が、今という現実たちが奪い続けた結果、地震などなかったときと同じ日々に戻っている今がある。しかし、今が戻らないものがいることは現実だ。今でも地震が続いているものがいるのも確かなことだが、それも遠くになっている。911 311 絵を描いて海外に送った。その絵は飾られた。何を思い、何を考え、描いた絵か、問われた。